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ウィズダムの目2003年9月号 


9月の本について

8月はメキシコに、そしてアカプルコの人工知能国際会議に出席して、革新的人工知能応用会議(IAAI2003)で研究発表をしました。幸いなことに、われわれの論文が最優秀論文に選ばれたました(受賞の様子)。これは日本人としては初めてのことです。しかし、アカプルコは最悪のところでした。日本の真夏日、湿度もありまるほどで、暑い日本の夏です。ホテルから会議場まで、20分は歩くことに。会場は寒いぐらいの空調、水は悪そう、食べるものは最悪。いつもホテルに帰り、昼はサンドイッチを食べ、夜は日本食、サントリーという鉄板焼きの店で鉄板焼き、ビールはサントリーのものはなく、コロナというビールですが。それで風邪を引いた平石君は腹を壊し、5キロもやせるしまつ。わたしも正露丸を離せませんでした。


受賞した認定証(クリックで拡大)
今回の受賞論文
Jill Burstein, Martin Chodorow, Claudia Leacock,
"Criterion Online Essay Evaluation:An Application for Automated Evaluation of Student Essays"

Henry Goldbefg, Dale Kirkland, Dennis Lee, Ping Shyr, Dipak Thakker,
"The NASD Securities Observation, News Analysys & Requlation System(SONAR)"

Hironori Hiraishi, Fumio Mizoguchi,
"A Cellular Telephone-Based Application for Skin-Grading To Support Cosmetic Sales"

Joao P. Martins, Ernesto Morgado, Rolf Haugen,
"TPO: A System for Scheduling and Management Train Crew in Norway"

ただ幸いなことは、海外の研究者とお会いできることです。私の「人工知能の研究者たち」の本のなかの、マッカーシ教授にお会いできサインをもらいました。それとカーネギーメロン大学の金出教授にお会いできたことです。金出教授は“素人のように考え、玄人として実行する”という本をPHPから出版し、帰国してすぐに送られてきました。本の帯をみると私の友人の安西さん(慶応義塾の塾長)の推薦もあります。さらに羽生さん(将棋の)の推薦などもあり、一気に読み、さらにうちの息子にも読ませました。感想はひとことでいうと、これは絶対に読む本ということです。金出先生は学部の学生などにも読んでほしいということですが、やや日本の学部学生にはレベルが高いという印象です。院生や研究者はこれを読んで、米国の研究社会の競争を知る必要があると思います。金出先生は、米国政府から研究費を50億ドル以上も獲得しているのですから。それは研究の実績、その実現力など信頼があることの証拠でしょう。日本の文部省のCOEは、結局東大と京大が大きく予算を獲得したことが報道されていますが、数年後にその成果についても取り上げてほしいとおもいます。金出先生の研究成果は、無人自動車を使い米国大陸を横断させるとか、スーパーボールを、動的に、よいカメラアングルで撮影するカメラロボットなどを完成しています。驚いたことに、フットボール競技場の2階観覧席周辺に18キロのケーブルで、カメラコントロール用のネットワークをひいて、それを実現したということです。この苦労話も本に書かれています。

それから今回の人工知能国際会議の基調講演は金出先生です。先生は、もちろん英語は堪能ですが、そのことも触れられています。それで以前、英語はどのように勉強されましたかとお尋ねしたことがありますが、そのとき、W.L. クラーク著の“Spoken American English”を全部暗記したということでしたが、筆者も同じ勉強方式で、なんとか英語をしゃべるようになりましたので、同感したという記憶があります。しかし、米国では、あまり、うまく英語をしゃべっていけないことも本のなかで触れられています。理由は本で読んでください。

 それから研究発表や論文をどのように書くかなど、金出先生が米国にいて長年得たコツが丁寧に書かれています。日本にはこのような類書がありません。日本のものは、大学教授になる方法(多分、3流大学の)とか、大学での過ごし方のような内容のものがあるというぐらい。だから、若い研究者は研究室のボス教授にへばりついているという徒弟的なもの。論文をキチンと書いてどこでも評価されるようになれば研究者の道は開かれていくと考えられますが。それができないため、雑用だけの研究者になります。大学では時間が過ぎても業績は論文で評価されます。そうした雑用ばかりの研究者が増えると活気ある研究者は育ちません。

いずれにせよ、研究者を育てるのは難しく、そのことを表しているのが、カーネ・ギーメロン大学とMITの論文の差です。カーネギーメロン大学は、今回の会議でも、論文採択が多く、MITは逆に、採択論文もすくなく、さらに、論文発表もキャンセルという低迷ぶりで、研究者の世代交代はうまくいっていないということが伺えます。さらによい論文を書く若手研究者が人工知能の分野だけでなく、その他の、例えば,セキュリティの分野にもいますし、ソフトウェア工学にも優れた研究者がいます。それに、周辺にいろいろな研究センターが誕生しています。多分、そうしたセンターは、研究者が研究費を獲得して自立して運営しているのではと思います。

ところで、金出先生の本は次のタイトルと出版社からでています。

金出武雄『素人のように考え、玄人として実行する』(PHP出版 2003.6.30)
すでにアマゾンではベストセラーになっています。日本の書店ではなかなか見つからず、結局、アマゾンから取り寄せました。

参考までに息子が金出先生に出したメールの感想は以下のような内容で、これに対して、金出先生はすぐに、メールの返事を息子にだしておられ(さすがに、それは省略するが)、息子は大変な喜びようでした。ここが米国の偉い先生の良い点ですね。会議でも、どんな質問でも誰に対しても謙虚に答えてくれます。


息子の感想

父が非常にいい本だと薦めてくれたので、早速読んでみた。著者の金出武雄教授は、人工知能研究のメッカであるカーネギメロン大で長年教鞭をふるわれている方である。この本の素晴らしいところは、欧米のスタンダートと日本のスタンダードを著者が長年の経験から吸収し、経験したことを本の形でまとまっていることである。特に自分のように海外留学している一学徒としては、金出先生が本書でおっしゃっているように日本とは異なる論理、習慣に戸惑うことも多い。その戸惑いをいかに克服するか、そしてどのように研究活動をするのかという点において、大学院生(あるいは若手の研究者)はぜひ読んでもらいたい。欧米のスタンダードを如何に吸収して自分のモノにするのか、ということにおいては、文系・理系を問わず非常に重要なことである。自分も金出先生と同じように、外国生活をしてから日本が大変好きになったし、カナダ人の論理と日本人の論理との違いに戸惑ったものである。そういったカルチャーの違いを感じ取りながらも、タフに研究活動を続けるかということに対するガイドになっている。

“大胆なアイディアやありきたりのアイディアを上品にいかに説明するのか、という点において金出先生は専門分野ではない素人の発想でのぞみ、専門家としていかにうまく説明をつけるかという点を色々な例を用いて説明している。例を使った形での説明は非常によくわかりやすく、分野こそは違えども類推ができるので、本当に理解しやすい。研究の仕方においても、どのような研究が実行可能で面白いのか、不可能なのだが面白い研究などの部分集合をうまく見つけ、うまく考えていくことが大切であるとする。研究において、どこまでやっていいのか悪いのかはセンスにもかかってくるのだが、ダメだと思ったら一旦間を空けて他の関連問題を解いたり、ブレインストーミングをするなどの必要性が生じると思う。そういった意味で、研究は体力仕事であり、なによりもひとつのことをとことん考えるという忍耐力(しかし面白いと感じられる)が必要であるのだ。

また、論文や人を説得する書き物は推理小説と同じである、という点においてはまったく同感である。専門家以外の人たちに自分の論文のイントロダクションを読ませて、理解できるかどうかというのは、ある種構成力に依存してくる。欧米では、論理の方向性が日本とは異なるために、論文を書く際に色々と問題が生じる。今回本書を読んで色々と論文の書き方についても、学ぶ部分が多く今後の論文作成に生かしたいと思った。

色々なメッセージが込められた本書は、本当にためになった。実際、このようなメッセージを伝えてくれるような教授や先生方がどのくらい存在するのかというと、そんなにいないはずである。金出先生は自分の財産というべき、研究者としての心得を本書という形で託してくれた。そんな本書を読めた自分を含めた若手の大学院生、研究者は幸せである


こうした感想をさらに研究室の学生にも、金出先生の本を読んでもらい書いてもらおうと考えている。以下の写真は、人工知能国際会議の晩餐会での食事後の写真である。撮影は先生の奥様によるものである。この食事後、溝口、平石とも腹をこわして正露丸のお世話になった次第で、そのための体重の減少もあったほどである。どうもメキシコ、アカプルコは良い印象ではないが、海の写真ものせておきましょう。その他、会議の写真いくつか載せてもいました。次回のIJCAIはエジンバラです。ここに論文が通るようにいまから準備する必要があるでしょう。


バンケットにて(左から西山、溝口、金出教授、平石)


アカプルコの海(ホテルより撮影)


人工知能国際会議 8月9日から15日


9つの会場で、セッションがもうけられていた


ロボカップレスキューの会場(ほとんどロボットは動いていなかった)




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