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ウィズダムの目2003年4月号 


最近読んだ本について


前回取り上げたジャズの本の続きのような感じですが、いままでに読んだものを含めて紹介してみましょう。

まず、絶対にお勧めなのが、今は亡き、悠雅彦さんの“ジャズ”(音楽之友社、1998年)です。よくレコードにある解説(ライナーノーツ)をされていて、それを読むと、よくジャズを知っている人だなと思っていました。この本の中にある白黒の写真も楽しいのですが、その章立てのどれをとっても、ジャズの音楽家の記述が感動的です。ビリーホリディの記述やコルトレーンとマイルスディビスなど限りない考察から書かれたものです。

黒人の音楽家のような人たちほど、同じような技量の持ち主が多く、そこで、ジャムセッションを開き、演奏の腕を磨くわけですが、そのとき、自分よりはるかに音楽的に上の人の演奏を聞いたときはどうなるのかなと思うことがあります。まさに、ソニーロリンズというテナーサックスの名手が、コルトレーンのアドリブを聞いたとき、それはもう衝撃だったらしく、しばらく演奏をやめ、橋のたもとで、自己鍛錬をしたという話も書かれています。

コルトレーンの新しい奏法は、ロリンズの技量をはるかに超えており、それは自己鍛錬では体得できないレベルにあったのです。しかし、ビレージバンガードで以前にロリンズがみたコルトレーンは、ロリンズの前ではおびえて震えて、演奏もままならない状態でした(すこしオーバーかもしれませんが)。そうしたロリンズが数年して、コルトレーンのうちだすモード奏法を聞いたときのショックは衝撃的で、自分で演奏をやめ、ニューヨークにかかる一つの橋のたもとで、自己鍛錬をしたというエピソードはあまりにも有名ですが、そうした背景がこの本に書かれています。その他、ジャズの今後など興味つきない内容が満載されている本です。

こうした本とは違いますが、レコードを聞く立場から、100枚のジャズレコードを分類して、ジャズの聞き方を詳しく書いた本として、後藤雅洋さんの“JAZZ百番勝負”(講談社、1998年)です。ライブジャズにおけるアドリブのいい加減さや危険さなどジャズがもつあわゆい部分やベースやドラムで演奏やアドリブがどのように変わるかの対比などにも触れられています。私達が聞くジャズのCDは聞いているうちに、アドリブも一つの音の流れでした捉えられなくなり、アドリブのもつスリリングなところは失われます。だから本当のジャズの生演奏とCDできくジャズには大きな差があります。

その辺の違いをうまく書いているのが、佐々木悟郎さんの“いつもジャズが聞こえていた”(東京書籍、2001年)です。この著者が米国にいたとき、アルトサックスのアートペッパーという人のライブを聞いた経験が書かれています。さらにこのアートペッパーと話をする機会があり、“アートペッパーミーツリズムセッション”という名盤の裏話をアートペッパーとしたといううらやましい話が書かれています。

アートペッパーは麻薬におぼれ、人生の半分を刑務所で過ごしていたという人ですが、この人には2枚のジャズアルバムが有名です。一つがアートペッパーミーツリズムセッションで、このときのリズムセッションはレッドガーランド(ピアノ)、ポールチェンバース(ベース)、ヒリージョージョーンズ(ドラム)です。特に、できのよいのがヒリージョージョーンズです。これはレコードの名演でしたが、そのことを後藤さんはアートペッパーに聞いたところ、やはり演奏がしやすかったということです。でもその基本はアートペッパーの歌心のようですし、このひとにもう一つのアルバムである、ベサムムーチョのライブ版のレコードも、これもすごい演奏で、これが本当の姿のようです。スタジオでの演奏は修正と編集加工されており、本当の意味のアドリブではないような気がします。後藤さんの本には、後藤さん自身の専門であるきれいなイラストレータ入りです。生を聞いた人の話は貴重であり、その経験をもとにしたジャズの話は楽しいですね。

あと日本の演奏家によるジャズの本では、穐吉敏子さんの“ジャズと生きる”(岩波新書、1996年)で、演奏する立場から、米国での活動ぶりが書かれています。登場する演奏家もチャーリーミンガス(ベース)、バトパウエル(ピアノ)というなじみの演奏家との出会いなどが書かれています。学生時代に京都でサイン(私のピアノトリオ)にしてもらったことがありますが、そのときの印象では、とてもきさくな方でした。なぜ、京都で、と思うのですが、そのとき、マイルスデービスが京都で演奏会があり、東京から京都までききにいったのです。サインをもらったのはジミーコブ(ドラム)ポールチェンバース(ベース)それに、穐吉敏子さんでした。いまから40年も前のできごとです。まだ、マイルスは元気で、まともなカルテットで演奏していました。このときの演奏は、“マィルスイントキョウ”に似ています。マイルスを近くで聞いたのは、その京都での演奏会で、それが最初にして最後でした。ドラムはアンソニーウィリアムで流れるようなビートと変則的な左手のリズムが印象的でした。その後のマイルスは次第にフージョンになり、以前のような音でなく、演奏も魅力が薄れていきました。

ジャズでない本では、次の本がお勧めです。伊集院静さんの“冬のはなびら”(文芸春秋)です。この短編集は、前回紹介した志水辰夫の“生きいそぎ”よりやさしさがあり、みごとな短編集です。とくに“陽だまりの木”は印象的です。会社の近くの屋敷にあった木を友達のように扱い、定年の日に挨拶にいくが、いつのまにか移植されていたといおうもの。その木を慕うべつの少女がいてまた、偶然の話の展開になるというもの。伊集院さんの日経新聞にときおり随想を書いていましたが、話題は花や自身の格好のことなど、大変面白く、一度は伊集院さんの本を読んでみたいと思っていました。この“冬のはなびら”は季節的に春に似合う本です。ちょうど桜が満開で、散り始めるはかなさに似た、やさしさに包まれた本で、たまにはこのようなやさしい本を読むことも必要かもしれません。特に、題名の冬の花びらは感動します。それとこの本の帯に書かれている、“誰の人生にも陽の当たる瞬間があるのだ”しかし、それを追い求めるのは難しいのですが、この本はそれを追い求めることを書いたものというのが筆者の感想です。

同じ作者の本で、“眠る鯉”(文芸春秋)もやさしさにあふれた短編集を集めた本で、同じような感性の本です。こういう本が少ないだけにあらためて伊集院さんの才能におどろいた次第です。そういえばテレビでみる伊集院さんはカッコいいですね。自分でも相当意識しており、姿勢もいいですね。何かのエッセイで、カッコつけないといけないを読んだことがあります。でも伊集院さんというのは夏目雅子さんの旦那さんということしかしりませんでしたが、才能があるひとですね。

その他これ1冊で、かなり読んだ気になる本としては、斎藤美奈子さんの“趣味は読書”(平凡社)です。もともと平凡社の“月刊百科”という雑誌をまとめたもので、いろいろな本(特に、よく売れている本の分析)のことが書かれており、なかなかおもしろい本です。なせあの本は売れているのだろうという分析やいかに本を買う人が少ないかを考察しています。大学生が漫画しか読まないという批判がありますが、そう批判する人が本を買ったりよんだりしていますか?という素朴な疑問がわきます。理工系で本が売れるというのは、3000部以上でしょう。ベストセラーというのは、五木寛之さんの“大河の一滴”のように100万部(1998年4月発行以来)、さらに文庫化され70万部というからすごいですね。内容は心にしみるようなエッセイ集なのですが。この本はそういえばタクシーの中にも広告がでていましたね。

斎藤さんの本には、いかに本を読まないか買わないかは、次のたとえでよくわかります。もし、日本が100人の村だったら、40人はまつたく本を読まない人、20人は読んでも月1冊以下。この中には図書館に行く人も含まれるので、毎月1冊以上の本を買うひとは、100人の村のなかで、4−5人ということになるという。そういえば、漫画で、バカボンドは3000万部を超えているので、これはすごいとおもいますね。

それから斎藤さんは本の作り方まで分析されています。ものすごく売れる本は、ゆるい、明るい、衛生無害ということだそうである。ゆるいという意味は、誤読を許すで、読んで適当に自分なりの解釈ができ、元気になれる、自分も大切に生きていけるという感想を持てる内容になれるというので、明るく、衛生無害の本が売れるという。そういえば、あの5体不満足は、教科書にもでてくる超ベストセラーで、520万部だそうである。大学もベンチャーだなんだということより、こういうタレントを探し、ベストセラーを作り出したほうがよいと思うことがあります。

理科系だとせいぜい書けそうなのが、“子どもにウケる科学手品77”ぐらいでしょうか もうコンピュータの話題で超ベストセラーなんていうのは無理ですね。医者だと、“生き方上手”日比野重明先生の本のように健康、老いと死に関連する本ですが、日比野先生は実績(90歳を超える)と名医(聖路加病院の院長)それに健康そうな顔写真があります。安心して買えそうな本で、しかも類書がかなりあり、売り切れても別の本でも内容は同じ(出版社があやかりたいということで次々に出版した結果)で、やはり元気を読者に与えてくれます。

かくいう筆者も、稲垣元博さんの“100歳までの上手な生きかた”(角川書店)という本を買ってしまいました。この本によれば、8、8、8の法則、睡眠8時間、労働8時間、好きなこと8時間を守ることだということ。ですからなにかのついでに、朝4時に目がさめて、そこで電子メールをチェックしたり、本を読んだりしてはいけないのです。そのまま、再度寝ることが重要です(でも寝すぎないように)。

4月はイラクの戦争のお陰でCNNのニュースを見てばかりいて、あまり本を読みませんでしたが、斎藤さんの定義からすれば、筆者は本を買う貴重な、稀少の民族の一人かもしれません。本を読まないときはバカボンドでも。漫画でも鉄腕アトムは古すぎます。それに、ロボットの研究者がやたらにはしゃぐのもみつともないですね。


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