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ウィズダムの目2003年2月号 


本箱と本について


書斎の本箱を20年ぶりにいじることにしました。本箱は、「Art of Growing up」という本によると、一生使えるでかい本箱を買いなさいと書かれています。この本はなかなか示唆に富む本で、去年、英国のエジンバラに出張したときに買った本です。「年をとる技術」で、女性を対象にしていますが、男性にもあてはまるところがたくさん書かれています。10代へのノスタルジヤは棄てなさいとか、幾つかの秘密を持ちなさいとか、いい車に乗りなさい、自分の香りを持ちなさいとかいろいろ書かれていますが、「Build permanent bookcases」が印象に残ります。日本にも、年をとることへの生き方の本がありますが、本箱についてはなにも触れていません。日本の年に関連した本は、もうすこし、生活そのものへのノウハウの本が多いようです。それで、自分の書斎を見回すと、本と書類に溢れていますので、なんとかしたくなりました。


 
 溢れた本


でも大きな本箱はむりなので、東急の通信販売のリビングエッセイというカタログをみていたら、ちょうどよいサイズで、しかも木造(合板でなく)があることがわかり、注文しました。もちろん組み立ては自分でやると安いのですが、これは業者にたのんだほうが楽と考えました。この組み立てがポイントです。幅90cmで高さは177cmです。これを2台頼みました。ただ、現状の本をどこかに移動する必要があり、それがまた、大変です。本は捨てればよいのですがなかなか捨てられませんね。それに本は長男の本も混ざり始めています。自分では買った記憶にない本が私の本棚に侵入し始めています。シェクスピアの文庫本の一群が私の本棚にならべられています。自分で買った記憶はありません。さらに、知らないSFの本がいつのまにか、ならんでいます。古い文庫本は本箱に積まれています。そういえば、カールヒルテイの本はどこにあるのかと探しはじめても見つかりません。しかし、まあしかたがないと思い、新しい本箱を買いました。多分、すぐいっぱいになり、また、本が溢れることになるとおもいます。


新しい本箱

それで今考えているのは、庭の一角に離れを創り、書庫を造ろうと計画を持ち始めました。自分の仕事場の近くに書庫を持ちたいと以前から考えてきたことですが、まだ、経済が許しません。それと、離れを造ると、今ある庭木をいじらないといけません。いろいろとやることが増えていくことになります。ウィズダムテックのオフィスも本に溢れています。ですから本箱の空間をつくればそれだけほんが増えるだけなのかもしれませんが、はやり本に囲まれて生活していると、ゆったりと、また、豊かな気持ちになることは確かです。書庫の計画はなんとか実現したいと考えています。


ウィズダムテックのオフィス

ところで、本箱というのもいいものが少ないですね。事務用のものはスチール製で移動が大変ですし、それで木製はなにか頼りない感じです。どうも気にいったものが少ないことは確かです。ですから、今回購入する通販の本箱はどんなものかと期待しています。今の書斎で使っている本箱は、前と後ろに本が入れられる二重のスライド方式のものです。幅も大きく、壁面全部に収納できるもので、非常に気に入っています。家を建てるときに購入しましたので、どこで購入したか忘れましたが、その後、この2重の本箱は良くみられるものとなりました。でも新築でないと、本箱をいれるのは大変な作業のような気がします。それに本の重量に耐えられるだけの基礎をきちんとしないと家自身が傾いてしまうのではと思うことがあります。いまのところ家は傾いていませんので、なんとか書斎は使えます。それでも増え続ける本や資料との格闘は続いています。

よく男の隠れ家のような雑誌に書斎の写真があり、本を背景に本をよんでいる人の写真がありますが、そうした状態にするのにかなり時間がとられているなと感じることがあります。整然とした書斎やリビングは写真を取るだけのときだけで、多分普段は散らかっているのだろうなとおもいます。台所もきれいな状態だと、これは使われていない、みえのためのキッチンということになります。インテリアの雑誌にあるような書斎やリビングはデモのためのもので、実際は、混乱な状態こそがそこで使う人の息遣いがあるのだと思います。しかし、多くに人は書斎にあこがれ、インテリア誌の写真の空間にあこがれます。だから、PENのような雑誌が売れるのでしょう。仕事場や書斎がきれいに片付いているのは、仕事の区切れ目だけでしょう。以前、筆者も本が完成して、机の周辺にある本を片付ける瞬間が本当に楽しく感じました。参考文献や論文をもとの位置にしまうときに、自分の本の完成を実感しました。そんな瞬間のあとの書斎は、整理され、さらに緊張感から解かれた最高の空間となるという気がします。

ともあれ通信販売で購入した本箱は、合成板の本箱でなく、天然木の本箱で、落ち着いた色合いであり、コスト的にも満足しています。似たようなものはACTUSでも探しましたがありませんでした。もちろんイケヤというスエーデンの家具メーカには、パイン材の家具や本箱がありますが、まだ、日本にはその店がありません。バンクーバでみたイケヤの家具は照明器具や机など安くて本当に感じのよいものが数多く展示されています。カナダに出張する際は必ず立ち寄り、照明器具を買うことが多いのです。何で、日本の家具や照明器具は高いのだろうといつも感じます。同じように、イケヤの家具についても同様です。おそらく、日本では代理店が存在しているために、それだけコスト高になるのかもしれません。その点、イケヤのような直売店ができると海外のように購入できますが、それだと既存の家具店が打撃を受けることになるのでしょう。

今回購入した通販の本箱は中国製ですが、天然目のラッカー仕上げで、書斎によくなじみます。20年ぶりの本箱ですが、気にいつたものがそれほど高いコストでなく手にはいったのは幸いとおもっています。これでしばらく本をおくスペースが確保できたと思います。しかし、すぐにいっぱいになりますね。それにビデオやDVDなども棚に整理し始めると、本の前にならぶことになります。それにスピーカ(これはオラトーンの小さいが効率のよいもので、書斎専用のもの)をおいたりすると本箱の棚はすぐにそのスペースがなくなります。でも古い本などそれほど大切と思われないものは捨てればよいのですが、それがなかなかできませんね。

ここで話を少しかえて本の紹介をしましょう。1月に読んだ本は主として専門書で、しかも、専門もまったく違う薬関係やバイオインフォマテックス関係ですので、あまり詳しくはできませんが、それでも1月の後半にがんばって読んだ本を少し紹介しましょう。

私の研究領域は人工知能ですが、還暦とともにその分野を、少し変化させています。その一つがファーマコインフォマテックスという、いわば創薬関連の分野です。それでその中心課題は薬の設計ですが、それを人工知能の対象として扱えないかというのが、いまの私の関心です。薬はどのようにデザインされるかというのは興味があります。その昔の私の専門は化学でしたので、比較的、薬の領域にもどることは困難ではありません。なぜ薬が効くのかというのはつきない興味もあります。以前、緑内障という病気の医療診断システムをその分野の名医である北沢克明先生と開発しました。その後も研究を続けており、すでに25年以上がたとうとしています。診断は名医の北沢先生の知識を分析して、それをルール化して、それをもとに医療診断します。その結果、治療には薬を使いますが、個人差のよりその治療薬が効く場合とそうでない場合があります。

以前から、なぜそうなるのかという疑問がありましたが、それは個人の遺伝的な情報などに関連しているらしく、とてもそこまでは研究の範囲ではありませんでした。しかし、ゲノム(人間の遺伝情報)が解明されるにつれて、薬と遺伝情報(蛋白情報)との関係も非常に重要になります。それには薬がなぜ効くのか、また、個人の特性にあうような薬はデザインできないのかというのが自然な疑問になります。個人にあうような薬を創ることをテイラーメイドのドラッグといわれ、これも新しい分野です。ですから、薬をどのように設計するかは重要な課題になってきているのです。それで、去年1年はそうした本や文献を読んできました。その代表が、私の友人のT. Lengauerが編集した、「Bioinformatics-From Genomes to Drugs, Vol.1, Vol.2」(Amazonへ)です。


T. Lengauer(前号の椅子で紹介したボールを愛用)

彼はスタンフォード大学のタルジャンという組み合わせ理論で有名な人のところで学位をとり、しばらくはVLSIの設計を研究してからバイオインフォマテックスの分野に入り、FLEXというドラグデザイン用のソフトウェアを開発しました。私が3年前にあった時は、ドィツ連邦の情報科学研究所の研究部長でしたが、最近マックスプランク研究所に移動したということです。得意は数理工学で、最適化問題です。最適化問題というのは、ある評価関数の最大値や最小値を求める問題です。制御工学やオペレーションリサーチの分野で発達した技術と理論です。最初は、最適化がなぜ重要かは分からなかったのですが、薬のデザインをすすめていくうちに、最適化が重要な技術であることが分かりました。薬のデザインといってもよく考えていくと、分子と分子のエネルギーの相互作用をどのようにして最大もしくは最小にすればよいかということになります。分子のエネルギーは物理化学の問題で、いろいろな方程式、例えば、ファンデルワールスの方程式などで決められるものです。ですから、そした自由エネルギーをもつ分子と分子の相互作用、薬では、レセプターとリガンドの相互作用を、最小にするように最適化すれば安定な薬となるわけです。

もちろん、ある蛋白のある部分に相互作用するのですから、どのような位置がよいかとか、分子の結合の様式などいろいろな要素が組み合わさっていますので、問題は複雑です。しかし、この組み合わせの最適化ができれば薬の設計に近づけます。もちろん計算は時間がかかりますので、グリッドコンピュータや大きなデスプレイ装置が必要です。しかも、一人でデザインをするのではなく、何人かの専門家が相談しながらデザインができるような環境も必要です。メディアセンターにはこのような大きなデスプレイ装置とグリッドコンピュータが繋がり、そうした環境を作ることを研究の大きな目標にしてきました。そのプロトタイプが完成して、ソフトのデモが動きはじめました。これもグリッドという計算パワーのおかげと考えています。

これでゲノムマイニング、薬のデザインソフトウェア、結果のビジュアリゼーションといういくつかの技術を統合して、ライフサイエンスの研究課題に挑戦しやすくなりました。脳ではなく、生体の中のすばらしい情報処理がどうなっているかの研究に近づき、しかも、薬の設計という実際に役立つ技術も確立できるのです。ゲノム情報を使う薬の設計はこれからであり、そこに人工知能の技術や考え方は役立つと思われます。それにいままで開発した医療診断と薬との融合により、さらに医療の高度化が考えられることになります。研究というのは、いままではバラバラだったものがあるときに、次第にジクソウパズルのようにつながり問題の見とおしがよくなるのですね。そのが研究のおもしろいところかもしれません。

本の紹介が専門になりましたので、少し話題を変えて、次の本を紹介します。

1. ビートたけし、悪口の技術(新潮社、2003年1月20日)(Amazonへ)

たけしがテレビでなにかしゃべっているような書き方で、同時に、たけしがでてきそうな雰囲気があるのがおもしろく、笑いながら悪口の技術をしることができる本で、お勧めである。すべての交渉の基本には悪口の技術が必要であることが、この本を読めばただちに理解できる。悪口を言えるのはきちんとした、常識を持ち、その限界もわきまえたうえで悪口を言うという高度に知的な能力が必要なことを、この本のなかで触れられている。交渉ごとでは相手を信頼したとたん、それは戦わずして負けたことになるという。この感覚をたけしが持ったのは、きっと小さいときからの経験や感性的な訓練で体得したものと思われる。だから、それを書いているたけしの技術はするどく、毒のあるものとなっている。普通のヒトには、なかなかまねのできない技術であろう。たけしはそれを十分に知っており、だからこの本は売れると思う。たけしの頭のよさは、普通、気がつかないことをずばりと指摘するところで、それを求めて多くの人がたけしのテレビをみるのであろう。

2. 柴田敏隆、カラスの早起き、スズメの寝坊、文化鳥類学のおもしろさ(Amazonへ)

ウィズダムテックのロゴはフクロウである。それはフクロウの置物のコレクションからきたもので、不苦労、不老の二つのキイワードとこれからは知恵が大切という考え方を反映したもの。それで文化鳥類学というユニークなタイトルや、寺田寅彦の「とんびと油揚」の事実が間違いであること、それだけ、鳥の目の性能があるのだという話は、昔読んだ寅彦の随想が間違いであることをしるのはおどろきであるし、また、サンテクジュベリのように嵐の中にはいる鳥もいて、体力を消耗してしまうこともあるということ、サンテクジュベリは行方不明になってしまったが。いろいろ知らない話があり、たいへんおもしろい本です。鳥が電線にきちんとならぶ理由も理解できたし、ためになる本でもある。そういえば、家の近くにスズメがすくなくなり、その代わり、朝早く、カラスがいることが多くなりましたね。カラスもサラリーマンのように、どこかの森から朝早く出勤しているようですし、スズメはとこかの木に群れて、鳴いているので、こんなところにスズメがいるのかとあらためて、見直したりしています。家の近くはツバメはいなくなりました。だんだん鳥も少なくなっているような気がします。

3. 小澤征良 おわらない夏(集英社 2002 11月20日)(Amazonへ)

作者は指揮者の小澤征二さんのお嬢さんです。「おわらない夏」、おわってほしくない夏とも読めるものですが、タングルウッドというボストン交響楽団があるところでの生活が書かれています。直接、指揮者の小澤征二さんはでききませんが、お父さんとしての細かい愛情を娘さんに注ぐのが間接的に書かれています。すばらしい指揮の背景に、すばらしい家庭があることがよく分かります。それに、指揮のまえの努力ぶりも伺えます。本の中の写真が家の感じを伝えてくれます。本当の豊かさは、家族や友人との食事など、断片でありながら、過ぎた時間の貴重さや、かけがいのないところがこの感性豊かな作者の眼をとうして伝わります。子供の時代の夏休みこそは黄金の日々で、その豊かさに比例して、その後の、生活にも大きく影響を及ぼすと思われます。映画での「トムソーヤの冒険」における夏の日々、「マルセルの城」の休みの風景など、映画でもしばしば、夏の時間のすばらしさを描いています。冬が厳しければ厳しいほど、夏の素晴らしさは感動します。セピアカラーのような写真の中に記憶をたどると、その中に、幼い自分や若い時の両親の姿がよみがえります。そうしたごくありふれた風景や自然との関わりを書いたのが、この「おわらない夏」です。この本を読まれる方は、家族が元気で、そろって出かけた時の旅行の思い出や、運動会など小さい頃を思い出されるかもしれません。そうした懐かしさがこのエッセイにはあるのです。

1月は専門書との格闘でしたので、上にあげた3冊は頭を休めるのにちょうどよい本でした。その他、購入したけれど、まだ読んでいないのが、リチャード・ワークマン、松岡正剛監訳の理解の秘密(NTT 出版)です。イラストなど魅力的な図もありますが、集中して読みきれないのです。こういう本はそうたやすく読むものでないと考えていますので、まだ、時間がかかりそうです。それより本箱を整理すると、以前購入した本でも読んでないものが数多くあり、それらに目移りがしてこまりますね。そうした本をパラリパリと拾い読みしているうちに結構すぐ時間がたって、専門の分野の本を読む時間がなくなりますね。でも整理された本棚を見るのは楽しく、また、本に囲まれていると不思議と落ち着きますね。それでつい夜更かしをしてしまうという結果になります。




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